湯浅雄大がおすすめする京都まち歩きコース 上賀茂〜大徳寺編

「上賀茂神社の紅葉とならの小川」Photo by Yuta

僕は高校生の頃から今日に至るまで毎年数回京都に遊びに来ています。大学生の頃は京都の大学に通い、京都に下宿し、ありとあらゆる観光地を巡っていましたから、京都に行くときは「そこらの観光客とは違う目線で京都を見るんだ」「誰でも行くような観光地には行きたくない」という奢りのようなものがありました。


社会人になって東京に住むようになってからも、事あるごとに京都に出向き、地元の方に話を聞きながら、街を歩き、美味しいものを食べ、夜はお酒を楽しむということをしています。その中で痛感させられたのは「京都はまだまだ奥が深い」という事でした。知れば知るほど魅力的な街。それが京都だと知り、さらに京都にのめり込んでいます。


今回は、そんな僕が「京都を歩くならぜひ!」とおすすめしたいコースやお店などをご紹介します。まず1回目は僕が京都の北エリアに住んでいたことから、北区から上京区のコースを紹介します。


京都には神社仏閣をはじめ、多くの観光名所がありガイドブックに載っている、これぞ京都!というスポットをまわるのもひとつの方法です。ですが、京都のまちの魅力をほんとうに味わいたいのなら、有名な観光名所だけでなく、ちょっと寄り道でその周辺や路地を一歩入った地元の人しか知らないような場所やお店に行くのも楽しいと思います。


上賀茂神社からスタート!


京都には多くの神社がありますが、京都でも最古と言われているのが上賀茂神社です。世界文化遺産に登録され、国宝と重要文化財の宝庫でもあります。正式名称は「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)」で、京都の春の風物詩であるあの「葵祭」でも有名です。


上賀茂神社に行くなら午前中がおすすめです。京都の中心街から少し外れていますが、それでも人気の観光地なので、まだ人の少ない午前中に参拝をすると大変気持ちが良いです。


朝5時30分から参拝できる上賀茂神社は、第40代天武天皇の御代・白鳳6年(678)には、山背国(京都府南部の旧名)により賀茂神宮が造営され、現在まで殆ど変容することのない御社殿の基が築かれます。


競馬の発祥とも言われ、5月5日には「賀茂競馬」が行われるほど、一の鳥居から二の鳥居までの長い参道には、春になると有名な「斎王桜」などの枝垂れ桜が咲き誇り、初夏には「葵祭」が執り行われ、秋は美しい紅葉、冬は雪景色と四季の移ろいを感じることができます。ちなみに、僕が京都に移り住んだ2007年春のJR東海CM「そうだ、京都、行こう」では、この上賀茂神社が舞台になっていました。

「新緑の上賀茂神社」Photo by Yuta

午前中をおすすめするもうひとつの理由が門前名物「神馬堂のやきもち」です。上賀茂神社の門前には「神馬堂」と「葵屋」のふたつのやきもち屋がありますが、「神馬堂」をおすすめします。ただ、売り切れ次第閉店でほとんどの場合正午までには売り切れてしまいますので、運良く購入できたときにはつい心が躍ってしまいます。


神馬堂から北に少し歩いたところに「今井食堂」があります。11時から3時間のみ営業しているさば煮のお店で、3日間煮込んだ真っ黒のさば煮は絶品で、僕が近くに住んでいた頃にもよく昼飯を食べに来ていました。


ここから賀茂川に沿って下っていくのもありですが、あえて賀茂川とは逆方向の東に向かって歩いて行きます。上賀茂神社内をを流れる奈良の小川が合流する明神川に沿って西に進むと、社家(上賀茂神社の神官の屋敷)が立ち並ぶ一角になります。北側に「御すぐき處京都なり田 上賀茂本店」があります。門をくぐり、小さな庭の石畳を進み、鈴の暖簾から店内に入ると、江戸時代の社家を改装した風情ある空間が広がります。上賀茂名産の「すぐき漬け」や「さんしょしぐれ(ちりめん山椒)」がおすすめです。京都にはたくさんの漬物屋さんがありますが、僕はこの「なり田」の漬物が一番だと思っています。

「秋の大田神社」Photo by Yuta

さらに西に5分ほど歩みを進め信号を北に上ると、大田神社という小さな神社があります。上賀茂神社の摂社でもあり、雨細女尊(あめのうずめ)を御祭神とした芸能上達、長寿の神様を祀っています。


ここに来ると心が落ち着くのは学生時代から同じで、京都に来るたびに足を運んでいる神社です。凛とした空気と凪いだ風が心地良いです。5月初旬から中旬にかけてはカキツバタが美しく咲き誇ります。


京都といえば中華⁉︎

大田神社から北に下がると、おしゃれタウンの北山ですが、どうしても食べたい中華を食べに上賀茂神社前の御園橋で賀茂川を渡り西賀茂方面へ進みます。川を渡って西へ伸びるのが御園橋通りです。御園橋通りを西に少し歩いた北側に「ロワゾー・ブルー」というパン屋さんがあります。営業は土日のみ。食材に徹底的にこだわったお店で、小麦アレルギーの方でも食べることができる古代小麦や米粉を使ったパンを作っています。

「焼豚冷麺」Photo by Yuta

さらに西へ信号をふたつ超えたところにあるのが「中華のサカイ 御園橋店」です。某有名割烹料理の店主も通い詰めるという中華料理屋ですが、僕にとっては学生の強い味方でした。ここはなんと言っても「焼豚冷麺」です。実は中華料理激戦区の京都。「天下一品」も「餃子の王将」も本店は京都にあります。夏でも冬でも食べたい冷麺をぜひ。


美味しい中華でお腹を満たしたら、腹ごなしをしつつ南に歩きましょう。ひとつ信号を東側に戻って大宮通を下がると、西側に「珈琲工房4331」がありここでテイクアウトのコーヒーをいただきます。この辺りはコーヒー店が多く、また豊臣秀吉が京都を囲み築いた「御土居」という塁防の北の端にもあたります。つまり秀吉の認識での京都の外から内へ入っていくことになります。玄以通まで下ったら3軒西側に「ズーセス・ビゲトゥス」というバームクーヘン専門店があります。

「バームクーヘンの穴」Photo by Yuta

店主の森美香さんは元薬剤師で、その後ドイツに渡り9年間修行したのちマイスターの称号を得て、この地にバームクーヘン専門店を開きました。低農薬・有機栽培にこだわった食材から作るバームクーヘンは心を丸く穏やかにしてくれます。先ほどの珈琲工房4331さんのコーヒーとも抜群の相性です。


今宮神社と飾り餅


ここから東へ行くと賀茂川で、川沿いに下って行くと東側に京都府立植物園があり、春はこの辺りに桜が吐き誇り、初夏には新緑が賀茂川を照らします。


しかしあえてズーゼス・ビゲトゥスから玄以通を渡って大宮通よりひとつ西側の通りを南に下がっていきます。少し歩いたところに久我神社があり、この辺りは静かな住宅街です。京都らしからぬ少し湾曲した道を南に10分ほど歩くと大徳寺が見えてきます。大徳寺は京都でも有数の規模を有する禅宗寺院で、境内に仏殿はや法堂(はっとう)をはじめとする中心伽藍のほか、20か寺を超える塔頭が立ち並び、近世寺院の雰囲気を残しています。

「大徳寺と紅葉」Photo by Yuta

東西800メートル、南北500メートルの広さを誇る大徳寺を散策するだけでもタイムスリップしたような風情を味わえますが、もし御朱印帳を持っている方がいればぜひ大徳寺内の黄梅院へ。和尚さんがいるときに限りますが、御朱印をお願いする人を見てオリジナルの言葉を書いてくださいます。頂く人によって変わる御朱印、黄梅院へ伺うさいは頂いて欲しいです。


大徳寺の西側の銀杏並木を少し北に上がったところに今宮神社があります。今宮神社は794年の平安遷都以前からこの地にあったとされ、御祭神が大己貴命(おおなむちのみこと、大国主の別名)などの国津神であることからも由緒ある神社であることがわかります。京都三大奇祭のひとつ「やすらい祭」の神社としても有名です。

「かざりや あぶり餅」Photo by Yuta

別名を「玉の輿神社」と呼ぶほど、開運・良縁のご利益のある今宮神社ですが、同じくらい有名なのが、門前名物の「あぶり餅」です。こちらも神社の東門の前に2軒のあぶり餅屋が向かい合った形で並んでいます。北側に「一文字屋」、南側に「かざりや」がありどちらも美味しいあぶり餅がいただけます。地元の方と話すとよく「どちらのあぶり餅屋が好きか?」という話になるのですが、僕は「かざりや」派です。


ここから市内中心地には京都市バス46系統を使えば一本で帰ることができます。ぜひ京都北側エリアの散歩道を楽しんでください。


Yuta Yuasa


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