スコッチウイスキーの6大産地とその特徴

スコッチウイスキーの生産地域は、地形や土地の条件によって6つに分類されます。よく耳にする「アイラ」や「スペイサイド」とはその地域の名前です。


生産地によって香りや味わいに特徴があり、スコッチを知るための大切な要素です。

現役バーテンダーがそれぞれの地域の特徴とおすすめのウイスキーをご紹介します。


スコッチウイスキーの6つの生産地

  • スペイサイド

スペイサイドはハイランド地方で蒸溜所が密集しているスペイ川沿いの呼称。華やかな香りのモルトが比較的多く、スコットランド全体の蒸溜所の半数近くがこのエリアにある。

蒸溜所の数…約60

主な蒸溜所…マッカラン蒸溜所、グレンフィディック蒸溜所、グレンリベット蒸溜所、アベラワー蒸溜所など

"Craigellachie Bridge over the Spey River, 2019" Photo by Yuta
  • ハイランド

スコットランド北部の山岳地帯でスコットランドの面積の大部分を占める。そのため、点在する蒸溜所の環境も森林、平野、海岸などで個性もさまざま。東西南北で風味が異なる。

蒸溜所の数…約50

主な蒸溜所…クライヌリッシュ蒸溜所、グレンドロナック蒸溜所、ダルウィニー蒸溜所、エドラダワー蒸溜所など

"Path to Edradour, Pitlochry, 2017" Photo by Yuta
  • アイラ

個性的で独特な香りが人気のアイラモルト。スコッチウイスキー南西にある淡路島ほどの大きさの島で、現在9つの蒸溜所が稼働している。その個性の秘密はこの島で採れるピートでこれを焚くことで強烈なフレーバーが生まれる。

蒸溜所の数…9

主な蒸溜所…ラフロイグ蒸溜所、ラガブーリン蒸溜所、ボウモア蒸溜所など

"Bowmore Distillery on the shore of Loch Indaal, 2019" Photo by Yuta
  • ローランド

スコットランド南部の平野地帯を指し、隣接するイングランドの影響を強く受けている。エジンバラやグラスゴーといった大都市があり、都会人向けのライトで軽やかなモルトが主流。一度衰退した地域だが、現在再興中である。

蒸溜所の数…約10

主な蒸溜所、オーヘントッシャン蒸溜所、グレンキンチー蒸溜所、ローズバンク蒸溜所など

"Edinburgh Castle from Grassmarket St. 2017" Photo by Yuta
  • キャンベルタウン

繁栄と凋落を味わった、「ウイスキーの首都」。小さな港町に20世期前半の全盛期には30以上の蒸溜所が稼働していたが、現在は3カ所のみ。伝統製法を今に伝えている。塩辛く、ドライな味わいが特徴。

蒸溜所の数…3

主な蒸溜所…スプリングバンク蒸溜所、グレンガイル蒸溜所、グレンスコシア蒸溜所

  • アイランズ

北から西へと点在するアイラ島以外の島々をアイランズと呼ぶ。北オークニー諸島や、西のスカイ島、アラン島などその島によって華やかであったり、スモーキーであったりと唯一無二のモルトに出会える。

蒸溜所の数…8前後

主な蒸溜所…ハイランドパーク蒸溜所、タリスカー蒸溜所、アラン蒸溜所など

"Isle of Skye, 2017" Photo by Yuta

スペイサイドおすすめ銘柄

  • グレンリベット12年


政府公認第1号の蒸溜所モルト。その昔、評判にあやかろうと同名の蒸溜所が乱立し、粗製乱造を始めた。それに対してグレンリベットは訴訟を起こし、勝訴する。以後、同社だけが定冠詞「THE」をつけて名乗れることになった。


ゲール語で「静かな谷」を意味するグレンリベットは、華麗な香りと風味を、その伝統とともに頑なに守り続けている。


「12年」は熟成にバーボン樽をメインに使用しているため、原酒そのものの風味を感じることができる。


ストレートで花の香りや舌に残るピリピリ感を味わうのもおすすめだが、ロックやハイボールにしてもバニラやハチミツのニュアンスを楽しむことができる。


  • アベラワー12年 ダブル カスク マチュアード

シェリー樽の使い方が秀逸な蒸溜所。ラムレーズンやバニラエッセンスの芳醇な香りで、フランスでは一番人気。


ゲール語で「ラワー川の落合」の意味。リネス山から流れるラワー川がスペイ川に合流する場所に位置する蒸溜所。


「12年 ダブルカスク マチュアード」はバーボン樽で熟成したのちシェリー樽で後熟した逸品。


芳醇でかすかにスパイシーなアベラワーの香りを楽しむにはストレートかトワイスアップがおすすめ。




ハイランドおすすめ銘柄


  • オーバン14年

西ハイランドのかつて港町として栄えた「オーバン」で造られるウイスキー。


ゲール語で「小さな湾」というのもうなずける。港町と一体となった蒸溜所。


唯一のオフィシャルボトルのスタンダードである「14年」は優しいスモーキーの中にコクのあるハチミツや新鮮なフルーツを思わせる。


潮の風味を味わいたいのであればストレート、甘みやスムースさを重視するのであればロックも良い。




  • グレンドロナック 12年


スコットランドで最後まで伝統的な石炭直火加熱にこだわり続けた蒸溜所。


ゲール語で「黒イチゴの里」で東ハイランドの丘陵の谷地にある蒸溜所。


「12年」は甘くフルーティーなシェリー樽熟成の素朴な味わいが特徴。レーズンのような果実の香りとコクのある麦芽由来の甘さと、ドライでスムースなフィニッシュ。


ペドロヒメネスとオロロソの2種のシェリーの樽で熟成をしているため、セオリー通りならストレートだが、ハイボールにしても香りを楽しむことができる。



アイラおすすめ銘柄

  • ラフロイグ10年

スモーキー、消毒液の香り、塩っぽいと好き嫌いがはっきり分かれるが、クセになる個性派ウイスキー。


「広い湾の美しい窪地」というゲール語が意味するように、蒸溜所は大西洋の荒波が打ち寄せる大きな湾に面して建っている。


「10年」はラフロイグ独特の強いヨード香とバニラ香が絶妙で、ピートと潮風の風味を味わえる。英国王室御用達のシングルモルトとしても有名。


バーボン樽で熟成された10年はロックにしても存在感抜群でハイボールにするとバニラ香が開く。さらにスモーキーを味わいたいのであればストレートで。





  • ラガブーリン16年

しっかりとしたボディ感と芳醇かつ強烈なピート香とスモーキーはアイラの雄と呼ぶにふさわしい。

ゲール語で「水車小屋のある窪地」を意味するラガブーリン蒸溜所は、ピート層に厚く覆われた湿地帯に建っている。


「16年」はラガブーリンのフラッグシップ商品で、16年の歳月とシェリー樽後熟が造り上げたリッチで芳醇なフレーバーが特徴。


ラガブーリンは絶対的にストレートで飲むのがおすすめ。焦げ臭くピーティな香りと、パワフルで力強い包容力を堪能していただきたい。




ローランドおすすめ銘柄

  • オーヘントッシャン12年

ローランド伝統の3回蒸溜にこだわった柔らかくマイルドな味わいの1本。


蒸溜所名は「野原の片隅」を意味するゲール語。クライド川河口にあり、大都市グラスゴーから川沿いに僅か10キロの場所に位置する。


「12年」は3回蒸溜とオロロソシェリー樽とバーボン樽を使った熟成が造り出す、クリーミーで甘味のある香りが特徴。


非常に飲み口が柔らかいので、これからストレートに挑戦する方にはうってつけ。さらに飲みやすく水割りにしても美味しい。




  • グレンキンチー12年

ローランドを代表する、軽くドライな食前酒向きモルト。


近くに流れるキンチー川と谷を意味する「グレン」。長い間唯一のエジンバラモルトとして伝統にこだわって生き残った蒸溜所。仕込み水に硬水を使う珍しい製法。


「12年」は唯一のオフィシャルボトルで、麦の香りと、かすかなレモンが特徴的。繊細でスパイシー、すっかりとした味わい。


ライトな風味は爽やかで、シングルモルト初心者や女性にも飲みやすい。




キャンベルタウンおすすめ銘柄

  • スプリングバンク10年

精麦からボトリングまでを一貫して自社で行う数少ない蒸溜所。


「スプリング」は水の湧く場所で、「バンク」は集落を意味する。キンタイア半島の東の湾の近くに位置する蒸溜所。


「10年」はスプリングバンク伝統の2回半蒸溜とバーボン樽とシェリー樽の熟成がまるで香水のようなバニラ香と洋梨のようなフルーツが絶妙なハーモニーを醸している。


豊かな香りを楽しむならストレートで、スパイシーさや切れ味のあるスムースさはロックでも味わえる。



  • キルケラン12年


80年間休止していたが、2004年に蒸溜を再開した。蒸溜所名は「グレンガイル蒸溜所」。


「グレンガイル」の名称が日本でいう登録商標の問題で使えないためキンタイヤ半島・キャンベルタウン地域の聖人、セント・ケアランの教会を意味する「Kilkerran(キルケラン)」を商品名としている。


「12年」は2016年にオフィシャルスタンダードボトルとしてリリースされた。心地よい甘夏のようなフルーティーな香り。フレッシュでスパイシー、ブリニーさを感じる。






アイランズおすすめ銘柄

  • タリスカー10年

舌の上で爆発する潮の香り。文豪ロバート・ルイス・スティーブンソンが愛飲したウイスキー。


タリスカーとはゲール語で「傾斜した大岩」の意。スコットランドランド最大の島「スカイ島」で長い間唯一のシングルモルトであった。


「10年」はリフィルのアメリカンオーク樽にこだわった製法で、荒々しくスモーキーな香りと、潮風やヘザーの風味が特徴。コショウのような温かいフィニッシュ。


45.8%とやや高めのアルコール度数で、ロックやハイボールにすると柑橘系の甘味を感じる。タリスカーの荒々しさを味わうにはストレートで。


  • アランモルト10年

1995年、約160年ぶりのアラン島モルトとして復活した蒸溜所。


スコットランド南西に位置するアラン島はかつて50以上の蒸溜所があったほど、ウイスキー造りに適した地。


「10年」はライトでマイルドな口当たりの中に、10年熟成とは思えないコクがある。シトラスフルーツと麦芽の甘みが絶妙に調和している。


無濾過、無着色という点を考えると氷を入れないストレートかトワイスアップが良いが、ハイボールにしてもコクがあり絶品。





Written by Yuta

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